漢方薬としての蜂の子
蜂の子といえば、佃煮やサプリメントを思い浮かべる方が多いかと思います。実は、蜂の子は漢方薬の一種としても活用されているのです。ここでは、漢方薬としての蜂の子について見ていきましょう。
漢方とは?
漢方は、中国の伝統医学(中国医学)を基にして、日本で発展した医学です。5~6世紀頃に中国医学が日本に導入されると、長い年月を経て日本の独自性を追求する試みが行われてきました。そして17世紀に、日本人の体質に合わせて、植物や動物由来の生薬を組み合わせて確立したものが漢方医学なのです。
漢方という名の由来は、同じ時代にヨーロッパから伝わった西洋医学(蘭方)と区別するために、中国の漢王朝にちなんで付けられたものです。
漢方薬としての蜂の子
日本で漢方として利用される前から、中国において蜂の子は生薬として認められていました。1~2世紀頃に書かれた中国最古の薬学書「神農本草経」では、蜂の子は無毒で長期間服用することで徐々に体質を改善できる上薬として分類されています。
ただし、生薬とはいえ蜂の子はタンパク質を含んだ食品です。そのため、他の食品と同じように食品アレルギーの対象となります。エビ・カニなどの甲殻類にアレルギーをお持ちの方は、蜂の子でも食品アレルギー反応が出る可能性があるため、必ずアレルギー科の医師の指示を仰ぐようにしてください。
蜂の子とアレルギーの関係について、もっと詳しく知りたい方はこちらへ。
蜂の子の効能
蜂の子は、アミノ酸・ビタミンB群・各種ミネラルを非常に高い水準で含有し、滋養強壮食品としてさまざまな効果が得られます。中でも注目されている効能が、耳鳴りの改善と快眠効果です。
耳鳴りの改善
蜂の子を継続的に摂取することで、耳鳴りの症状が改善したという報告が寄せられています。岐阜大学が行った研究によると、耳鳴りを自覚している被験者60名に蜂の子を12週間摂取してもらったところ、耳鳴りの自覚症状が軽減したという結果が得られたのです。これは、蜂の子に含まれる必須アミノ酸やビタミンが、耳の機能と関わりの深い自律神経を正常にするためだと考えられています。
漢方薬として摂取する場合、蜂の子に加えて桂皮・茯苓(ぶくりょう)・甘草(かんぞう)・白朮(びゃくじゅつ)など、耳に良い生薬とブレンドするとより効果が期待できます。
蜂の子の耳鳴りへの効果について、もっと詳しく知りたい方はこちらへ。
睡眠の質を上げる
蜂の子に含まれるアミノ酸の一種・グリシンは、就寝前に摂取すると末梢血流を増加させ、手先や足先からの熱放散を活発にしてくれます。これにより体の深部体温を低下させて入眠しやすくなり、起床時の疲労感が軽減されるのです。
就寝の30~40分前に蜂の子入り漢方を摂取することで、睡眠の質を上げる効果が期待できます。
蜂の子の快眠効果について、もっと詳しく知りたい方はこちらへ。
まとめ
蜂の子は、佃煮やサプリメントだけでなく、漢方薬の素材としても活躍しています。継続して摂取することで、耳鳴りの改善や快眠効果が期待できるのです。
漢方薬の効果は、早ければ2~3日ほどで現れ、4~6ヵ月間継続すればしっかりと体質を改善することができます。蜂の子の場合、12週間の摂取で耳鳴りの改善が確認できたというデータもあるため、まずは3ヵ月間の継続を目標にしてみるのが良いでしょう。